脚本:高久進 演出:勝間田具治 作画監督:中村一夫 この話、楽しみにしてたんです。
僕が昔ウルトラマン大百科を携えた子供だったことは書きましたが、ケイブン社の大百科シリーズには、アニメや特撮番組にでてきた怪獣を全て掲載した『怪獣怪人大百科』なるものがありまして、僕はこっちのほうが宝物でした。 で、大百科でマジンガーの機械獣もすべて網羅してあるわけなんですが、 このデイモスF3。カッコイイんですよ。 子供の頃からお気に入りの機械獣のひとつでした。 実際動いてるところを見るのは今回が初めてなんですが、このデビルマンのようなデザインで、いったいどんなことをしてくれるんだろうと期待しながら見始めたんですが・・・ ちょっとアレレな作品なのでこちらもアレレな紹介をします。 拍子抜けどころか、なかなか味わいのある作品ではないですか。そしてデイモスF3はカッコワリーです。 バラバラになってリモコンで元に戻るという機能がありますが、なんつーかコケ脅しですね。 たぶん機械獣のデザインは先行していくつか作り、脚本にあわせてテキトーに割り振っていったのでしょう。 せめてデザインにあわせた脚本にしてほしかった。外観が悪魔である必然性がまったくないのですから。 脚本は高久進です。この人については次回書きます。 さて本編は、いつも通りドクターヘルのあしゅら男爵いびりから始まります。まずはドクターヘルが作戦披露。 「相手はマジンガーZ、まともに立ち向かっては分が悪い。 デイモスF3をバラバラにして光子力研究所に運び込み、リモコンで復元させるのだ。そして動けぬマジンガーZを破壊するのだ」 なかなかいい作戦だと思います。 同時期に放送されていた『ウルトラマンタロウ』には、 自販機の中に隠れて、ジュースを買いに来た子供を襲うというトンデモな作戦を実行する頭の悪い宇宙人がいたくらいですから。 光子力研究所で働く主要人物のデータを要求するドクターヘルに、8ミリ画像をみせます。 (右があしゅら男爵) あしゅら男爵「こやつがご存知、兜甲児」 ドクターヘル「余計なことをいわず続けろ」 ひどいですドクターヘル。 じっとドクターヘルを見つめるあしゅら男爵。 ニューヨークで開かれる科学会議のために研究所を留守にする弓教授に代わって責任者となる人物は誰かと、ドクターヘルは尋ねます。 「ご覧ください。のっそり博士にもりもり博士。そしてセワシ博士が共同責任者になるはず」 えー、のっそり博士にもりもり博士~?まあこういう登場人物のことはもちろん知ってたんですが、今作で初めて視聴者に名前が明かされたのかな。 あらためて紹介されるとなんともすごい名前だと思います。 ドクターヘル「このマヌケな博士たちを催眠術にかけ味方にするのだ」 ひどい・・・なんか、ドクターヘル。先入観にやられてますよね。 名前だけで相手の人物像を決め付けるのは良くないと思います。 さて、ドクターヘルの掴んだ情報どおり弓教授は会議に出かけていきます。 弓教授を見送る三博士 「さあ、モリモリと働くぞ!」 ああ、やっぱりそれでモリモリ博士なんだー。 あしゅら男爵は、配下の鉄仮面軍団に、博士達をさらうように命令を下します。 「いいな。マヌケな三人の博士を是が非でもここに連れてくるんだ」 もう完全にマヌケ扱いです。 絶対マヌケな名前のせいだと思う。 所変わって光子力研究所。 弓教授を見送ったあと、三人の博士はボウリングに行く相談をしています。 それをさやかは「お父さんがいないときに留守にするなんて」と、とがめます。 三人はシュンとしてしまいますが、甲児くんが留守番を申し出ます。 セリフが洗練されてるせいで、このときの甲児くんの奥ゆかしさがカッコイイです。 こういうところは高久進の技ありですね。 今回作画のレベルは高く、甲児クンのかっこいいパジャマ姿もでてきます。この人は寝てるときも襟を立ててるんですね。 たぶんスキマ風が吹いて寒いんだと思いますが、なかなかオシャレでいいですね。 のちに『UFOロボ・グレンダイザー』にて三下扱いになる人とは思えないくらい色気出してます。 さて、三博士は、さっそく甲児くんの好意に甘え、いそいそと出かけることにしました。 が、部屋を出たとたん走り出します。 「それーっ」 やっぱりマヌケかも・・・ そして異色のボウリングシーンになるのですが、 三博士のキャラが立ち過ぎててすごいことになっちゃってます。 モリモリ博士は筋肉をいちいちモリモリさせながら、隣のレーンに砲丸投げ。 セワシ博士はせわしなく右に左に絶えずフットワークをし続け、他人のボールを奪ってまで投げる。 あー、あとノッソリ博士はノッソリしてました。 極めつけはこのシーンです。 セワシ博士、あまりにせっかちすぎて、ボウルを掴んだまま自分ごと投げてしまいます。 「あ~れ~」 ストライク! ノッソリ博士がノッソリとマイボウルを取ろうとすると。 セワシ博士、ボウルになって出てきちゃいました。 まあベタベタなネタなんですけど、演出がナンセンスを狙ってダダスベリになってて、三博士の強烈なキャラとブレンドされて、おかしなことになっちゃってるんですよ。 さて、ボウリング場であっさり捕まってしまった三博士は、催眠術をかけられて、マジンガーZを格納庫から外に出してしまいます。 そしてあしゅら男爵はバラバラにしたデイモスF3のパーツをミサイルに仕込んで、光子力研究所の近くに撃ち込みました。 甲児君やボスたちが、なにごとかと駆けつけると、 みるみるうちにパーツが集ってデイモスF3になっていきます。 アレレ? そんな作戦でしたっけ。 ここでもう一度ドクターヘルがたてた作戦をどう語ったのか見てみましょう。 ドクターヘル「相手はマジンガーZ、まともに立ち向かっては分が悪い。デイモスF3をバラバラにして光子力研究所に運び込み、リモコンで復元させるのだ。そして動けぬマジンガーZを破壊するのだ」・・・ずいぶん違いますね。 ちゅうか、一番のマヌケはあしゅら男爵だと思います。 ドクターヘルのわりとイカした作戦を一瞬で台無しにしてしまいましたから。 だからイビられるんだと思う。 三博士が、デイモスF3を研究所に案内したと聞いた甲児くん 「くそう、あのキチガイどもめ」 (言いすぎです) で、あとはテキトーに戦っておしまい。 催眠術にかかってた博士は我に返ってメデタシメデタシ。 こないだ見つけたマジンガーレビューサイトによると、 >鉄の城によると、演出家によって脚本に手が加えられたそうで、この作戦の破綻ぶりもうなずけます。 だそうで、納得いきました。 鉄の城とはなにかと思ったら、コレですね。 うーんちょっとほしい。 なんか脚本家と演出家の関係を文中のドクターヘルとあしゅら男爵に置き換えて読むと。たいへん面白いのですが、 演出の勝間田具治と脚本の高久進のコンビは、映画『マジンガーZ対デビルマン』でわりといい仕事をしてるので、今作は三博士の紹介をメインに据えるという構成上の判断が不幸な方向に働いてしまったと解釈することにしましょう。
by sttng
| 2004-12-20 12:15
| ∟マジンガー
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